デジタルファブリケーションにチャレンジ(1)-レーザーカッター編
- 3Dプリンタ
- デジタルファブリケーション
- モノづくり
初学者ながら「モノづくり」に実際触れてみた。個人的に興味のある分野ではあるが、専門知識を持たない自分にどこまでアタマでイメージしているものと近づけられるか試してみたいと思った。
デジタルファブリケーションとは
デジタルファブリケーション(Digital Fabrication)とは、コンピュータで設計したものが、それとつながった工作機械によって実際のモノ(物質)を作り出す技術の総称らしい。
特にレーザーカッターや3Dプリンタがその目的を果たす機械としてよく取り上げられる。
しかし、ネット上のPCやスマホの画面で見ることができる情報よりも、手にとれるモノからの情報(例えば災害マップや子供向けの絵本など)のほうが時と場合によってはユーザーとの親和性が高く、単にモノを出力する機械というよりも「情報をモノに置き換える技術」と考えている人もいるようだ。
スキルを活かす
DTPやWebのデザインの仕事をやってきて、趣味で3DCG、専門外でJavaScriptプログラミングをしてきたのでこれらをモノづくりに応用(?)してみる。
今回からデザインラボ・ツクロアでは3回にわたって、次のようなことに触れていこうと考えている。
(今回の記事)レーザーカッターでネームプレート制作
おおまかな流れはIllustratorのデータから、レーザーカッター専用ソフトに.xdf形式にして渡す。「切断」と「彫刻」ができるが完全に切り落とすか、浅くレーザーを当てて掘るかは専用ソフトで行なう。
(7/20公開予定)3Dプリンターから表面加工
3Dソフトのスキルは初心者レベルだが、自分でモデリングしたオリジナルなモノづくりに挑戦しようと思う。ただ、できるものが期待より粗いので、後処理というものにもチャレンジしたい。
(8/3公開予定)電子工作機器とモノをつなげて情報を可視化
HTML5, JavaScriptのスキルを活かしたい。もちろん私はコードを書くことだけを生業としていないのであまり得意とも言えないが、まずは動かしてみたい。詳しくはまだ試行錯誤中なので何とか間に合わせたい。
レーザーカッターでデザインラボ・ツクロアのロゴ入りパネルをつくる
よく表札やフォトフレームに使われているアクリルに名前を掘ったりするアレである。なんと、慣れ親しんでいるAdobe Illustratorが使える。
言うまでもないが、テキストはアウトラインを取ることだ。今回は特に関係なかったが太い線を表現したい場合は「パスのアウトライン」処理をすること。あとは特別なことはしていない。
なお、誤解を恐れずに言うならば、3Dプリンタよりもレーザーカッターのほうが敷居は低いと思う。
なぜなら基本2Dであり、割と待ち時間は短くてもできるものが多い。
ホームセンターでアクリル板を買ってくる、今回厚さ5mmで広さ180mm×320mmの透明アクリルを選んだ。
注意してほしいのは素材によっては切れないものがある、例えば「硬化塩化ビニール板」はダイオキシンを発生させるため通常のレーザーカッターではNGである。まずは通常のアクリル樹脂や木、厚紙などがいいかもしれない。
Illustratorで出力したいアートワークをつくったら、レーザーカッター内で多少のズレを見越して、全体のサイズがアクリル板より小さくなるが、境界線をつけて切断することにした。これにより中に表示される形状が斜めになったりしない。
あとは、完全に切断する部分と、掘る部分をデータ上で区別しなければならないが、これはIllustratorではなくレーザーカッター専用のソフトで行なうことになる。
Illustratorからは.dxfというファイルに変換する、「ファイル」→「書き出し」のメニュー選択で選べる。
専用ソフト内で、パスデータごとに選択して切断なのか掘るのかを設定する。
レーザーカッターの場合、素材の厚さや材質によって時間と出力を試し切りしなければならないことがある。
要は1枚くらいは予備で捨てるくらいの気持ちが必要だ。
試し切りができたらいよいよ本番と。
ただ、レーザーカッターが使える店舗は大抵店員さんがアドバイスしてくれるだろうから、あまり心配し過ぎないほうがいいだろう。うまくいけば喜びもひとしおである。
また、使い古しの歯ブラシで軽く削った部分をキレイに磨くとよけいな粉が落ちる。
穴を空ける、データに含めても良かったが、今回はドリルで空けてみた。
最後の最後で保護フィルムをはがすとキレイで透明なアクリルが出てくる、これで完成だ。
次回は3Dプリンタ
次回の私の執筆ターンは7/20、海の日前日に全く関係ないが3Dプリンタでつくったものに後処理でキレイにすることにチャレンジしたいと思う。
次回はもっと苦労するだろう…。
謝辞
今回レーザーカッターを使わせていただいたのは筑波大学内の「openfab 創房」。
3Dプリンタ・レーザー加工機・各種工作機器・塗装ブースなどが完備されていて、プログラマーやデザイナーがモノづくりにチャレンジできることがもう当たり前であることを実現すべく、2016年に開設されたばかりの工房を使わせていただきました、ありがとうございます。