デジタルファブリケーションにチャレンジ(2)-3Dプリンタ入門編
- 3Dプリンタ
- モノづくり
グラフィックアプリケーションのスキルを活かしてみる。
前回に引き続きモノづくり編、今回は3Dプリンタでモノづくりにチャレンジしたい。
実は以前に3Dプリンタでスマホスタンドをつくったのだが、後述する通り表面がギザギザなのでできるだけキレイにしたい。
特にスマホの充電ができるわけでもなく、立てるだけのものに挑戦する。
今回使用した3Dプリンタは「AFINIA(アフィニア) H480」というパーソナルユースのプリンタ。
3Dプリンタには色々なタイプがあり、価格も数万円という低単価なものもあれば何億円という個人では持てないようなものまで様々。
最もポピュラーなものが「熱溶解積層方式 FDM法(Fused Deposition Modeling)」と呼ばれるもので、熱でチューブを溶かしながら形状通りに積み重ねながら立体物をつくるもので、「AFINIA(アフィニア) H480」もその方式である。
スキル
簡単な形状であればAdobe Photoshopが使える。
もっとも自由自在にモデルをつくりたいのであれば3DCGソフトのスキルも必要ではある。
しかし平面の形状に奥行きをつけて立体にすることであれば、IllustratorでパスデータをつくってPhotoshopにパスとしてペーストし、3Dウインドウから奥行き設定を与えるという操作だけで事足りるだろう。
このスキルさえあれば、例えばコースターのような平面にちょっと厚みがあるものをPhotoshopでSTL形式(3Dプリンタ用のファイルフォーマット)にして出力できる。
その他、ネット上には色々なSTLデータが配布されているのでライセンスには気を付けるべきではあるが、まずはそれらを使ってみるのも一つの手だ。
私の場合、以前3Dソフトを使ってモデリングした経験があるので、ある程度自由にモデリングしてみた。ソフトはLightwave 3D。
段々畑の積層痕
楽器や人体に埋め込まれる臓器、はたまたお菓子、スケールの大きさで言えば建築物まで3Dプリンタでつくれるらしく、夢は広がるばかりでだが、現実初心者の目線で言うととても夢には程遠いものしかつくれなくて最初はがっかりするだろう、未来はどうなるかわからないが…。
理由は時間がかかる割には仕上がりの表面がとても荒く、プラモデルのような仕上がりにすらならず表面がガサガサして、「熱溶解積層方式」の名の通り「積層痕」という段々畑の痕が出てしまいとても残念になってしまう。テレビやニュースサイトで取り上げられるあの「ツルツル感」には程遠く、「熱溶解積層方式」でプリントしたモデルをキレイに見せたい場合は、後処理という手作業が必要になってくる。
積層ピッチで仕上がりが違う
大抵の3Dプリンタにも「プリント(印刷)設定」がある、なんとなく過去20数年もプリントアウトなんて言葉は紙にインクで出力することに使われていたので不思議な感覚だ。
印刷前の設定には「積層ピッチ」が選べるが、この積層ピッチ、細かくすると多少なめらかに仕上がるが、数値を大きくするとなんというか、「段々のブツブツ」が目立ってくる。人によっては細かくしすぎてもよくないらしく、大抵は積層ピッチ0.2mm〜0.25mmというところが個人的にはしっくり来ている。
アセトンベーパー処理
とくに生き物やキャラクター(フィギュア)などは曲線がキレイでないと魅力が出ないものが多い。
表面が段々のギザギザだとなんだか可哀想な気持ちになってくるのはなぜだろうか?
そこでもっともポピュラーな方法が「アセトンベーパー」という方法で、ネットで調べると色々な試みを紹介しているので参考になる。
簡単に言うと、アセトンという液体で3Dプリントされたモデルの表面を溶かしてギザギザを目立たなくする方法である。
その手法も様々なようだ。
密閉されたプラスチックケース内にキッチンタオルペーパーにアセトンを染み込ませ、気化したアセトンが充満しそれでじっくり溶かす方法から、アセトンの液に直接モデルを沈めてしまうという大胆な方法もある。
「熱溶解積層方式」に使われる素材(フィラメント)には2種類あり、ABS樹脂とPLA樹脂があるらしく、色々なサイトで紹介されているアセトンベーパー処理はABS樹脂のみで有効だと書いてある記事が多い。
私はABS樹脂でしか今のところ試していないので、残念であるがPLA樹脂については全くわからない。
とにもかくにも、アセトンを買ってきた。
ホームセンターに行けば大抵売っている、そんなに高価なものではないが、それより火気厳禁であり取り扱いには充分に注意が必要である。
慣れないせいか、手順を間違ってしまいモデルの上からアセトンを直接「ぶっかけ」てしまった。
しかたがないのでプラスチックケースに密閉し、しばらく置いてみると数時間も経てばケースの外からみてもツルツルになっていくのがわかる。効果はあったようだ。
ただ、アセトンベーパーは表面が溶けるということでつまりはディティールが失われるということにもなる、一長一短あるということも理解しておこう。
3DCGソフトの経験者でも難しい「設計」
今でも納得のいくものができてないと言えるほど失敗の連続だが、少しずつコツも見えてきた。
まずは内部にモーターなどを仕込むなど、何かが可動するのであれば、プラモデルのように、後で組み立てをするように分解した状態でモデルを作成する必要がある。これがとてもハードルが高く感じる。
今まで3DCGソフトの経験者で例えばゲームをつくっていたような人でもこのスキルは別物だと思った。
続けることかな?
とにかく失敗にめげず、繰り返しコツを掴むことだ。
個人的にはワクワクしている、つくりたいものが色々あるからだ。
ただ、つくりかたのスキルはまだまだ下手であるが。
あと、3Dプリンタにも様々な種類があって、今回使用した熱溶解積層方式とは違うタイプの3Dプリンタも低価格で出てきているという、しかも仕上がりもいいものがあるらしく、少し勉強しようかと思った。
もっと高精細な3Dプリンタを常設しているモノづくり支援の施設も増えてきている。個人では買えない高価なプリンタの精度もどんなものか興味がある。
今度ちょっと覗いてみようかと思った。
次回の私の記事は8/3(水)、いよいよ電子工作と3Dプリンタでモノづくりにチャレンジする予定。
入門記事ではあるが、もしも読んでくださったら幸いと思う。