絵を描くということ
- イラスト
- デザイン理論
子供の頃のお絵描き
小さいころ、誰しもが「お絵描き」をしていたのではないかと思います。
それが、成長するにつれ「お絵描き」を不得意とし、描かなくなる人もいれば「お絵描き」が好きで描き続ける人もいる。
私は、幼稚園の頃から「お絵描き」が大好きでした。
そして上手い・下手の基準はいつから自分で判断しているのだろう?とよく思っていました。小さい時に、
- 周りに上手な友達がいて、その友達は褒められていた。
- 親や先生に絵をみせたら、いろいろ言われた。
- 自由に楽しく描くというより、学校で強制で描かされていた。
という経験によって、自分は不得意という思い込みが始まってしまうようです。不得意という思い込みが長期間続くと、次第に描かなくなり、感覚が鈍って、結果描けなくなるという流れになってしまいます。
思い当たる節がある人も、いるのではないでしょうか?
「子どもが絵を描くとき」という本では、
「自分の存在までが否定されている」ように受け取ってしまっているから
というよに書かれており、自分の絵を否定されたことによって自分自身が否定されてしまったと心に思ってしまう事から、絵の不得意意識が生まれるとあります。
実際に、絵を描き続けている人でも大人になってからもよくあることです。
大人なりの、悩み方や受け取り方の違いはあるとは思いますが、そこで不得意意識が生まれて色んな人が絵を描くことを嫌いになり、描くことをやめていくのだろうと思うともったいないお化けが出そうです。
学生時代の「絵」と、社会人になってからの「絵」
小学生の時に、ノートの端や教科書に沢山落書きをして怒られた記憶があります。授業をあまり聞いていなくて、いつも絵を描いていました。
学生時代は、好きなモノを描いて過ごす時間が至福の時でした。
高校時代にグラフィック・ファッション・テキスタイルデザインの勉強をしたのですが、その勉強をしはじめるまでは絵を描きたいから、この学校に来たという頭でした。
漫画を描いてみんなで見せ合ったりイベントで出ることが当たり前で、それが自分のやりたいことでもありました。
高校を卒業する時点でも、絵を描くことを辞めませんでした。
絵を描くことが単純に好きであればイラストレーターや漫画家を目指せば良いのですが、勉強をしていく中で少し変化が生まれ、私はデザイナーを目指しました。
デザイン仕事をはじめると、完全に自分の絵への考え方が変化しました。
デザインという要素や手段や技法を身につけていくことにより、絵がデザインのための武器の一部になっていった感覚でした。
それからは、デザインの武器の一部として自作の絵を入れたり、アイコンを作ったり、チームやお客さんにイメージを伝えるために描いたり、自分の頭に浮かんだものをカタチにしてみたりと、絵の活用の場が広がりました。意味の「わかりやすさ」を求めるうえで、絵を使ってユーザーが理解しやすいようにするという事も、ひとつの手段として使うことも増え、それだけの依頼も受けたりしました。
イメージしたものをカタチにする
Webデザインをやりはじめた時期に、ECサイトのバナーがうまく作れない!情報がまとまらない!という悩みを持った人はいると思います。実際に私も悩み、新人のバナーを作り始めた子たちもよく悩んでいる姿をみてきました。
私がWebデザインをやりはじめたときにいた会社では、デザイナー教育の一貫として、「バナーを考えるときは、手描きラフで考えをまとめてから作り始める」というルールで、新人のデザインの教育をやっていました。
自分の頭の中がまとまっていなければ、迷ってばかりでバナー制作にも時間がかかって、クォリティの低いものしかできない。
デザイナーで絵が不得意という人もいますが、自分のイメージしたものを一旦手描きでアウトプットするというのは、どのデザインの仕事でも、昔も今も同じではないでしょうか。イメージしたものが思うように描けなくて「不得意意識」が生まれるというパターンもありますが、ここでは絵を上手く描くというものではなく、イメージのアウトプットのために描くので、絵が不得意だからと言ってやめてしまうのは逆効果です。
絵を描くには観察から
絵を描く前に、頭の中でイメージする。
そこをうまく出来ずに心が折れる人は多いでしょう。イメージが出来る頭になるには、まず色々な人・モノ・景色・生き物などをよく観察することからだと私は考えています。人の体や表情、動物の骨格、葉っぱのはえ方、花の咲き方など、それを観察してその通りに描いてみると案外思ってたよりも上手く描けたりします。
イメージする前に、日々観察を。
デザインをするにも、街中の色んな物を目にして観察をしたり刺激をもらったりします。それと同じ基本だと思います。
私は似顔絵が得意だと公言しています。昔から似顔絵を描くのが好きなのですが、そこには人の顔の特徴を観察することが好きという自分のこだわりがあって、それを活かして似顔絵を描き続けているのです。
自分で、特徴的な絵を描くとは全く思っていません。でも、その人の顔のどのパーツが特徴があって大きさが違うとか、顔の輪郭がどのタイプなのか、骨格やパーツの位置をちょっと注目して、特徴を表せば「似てる」絵が出来上がるのです。
コツは、部分的によく観察すること。
絵が単純に上手く描けないという人は、観察力を養うことはひとつの手です。
観察をし、描くことを続けてみれば、イメージと自分のアウトプットに差が無くなっていくのではないかと思います。
似顔絵を気に入って何年も使ってもらえていたり、イベント時に使ってもらったりすると、描いた側としてはものすごく嬉しいです。
最後に
誰もが絵を自己表現の為に描けるわけではありませんが、不得意意識をもってしまうのはとてももったいない事だと思います。
自分の子供とお絵描きをした時の、自分の失敗例があります。
自分が昔から絵を描くことが好きだったことや、色はこれを使おうよ!と、子供に押し付けてしまった事があります。
今から思えばあのとき、もうちょっと違う対応をしてあげればよかったと思い「絵を好きになって描いてもらうって、どうしたらいいんだろう」と思ったのが、この記事を書くキッカケでした。
イメージすること、観察することは日々お金もかからずに出来る事です。
アウトプットすることは自分の自己表現です。それを、上手い下手・好き嫌いという感情ではなく、自己表現として自然にできるようになって喜びを感じてもらえるといいなと思っています。