UIデザインという仕事
- UIデザイン
先日、東京造形大の授業でゲスト講義をする機会をいただき、メディア概論を履修している学生たちに「UIデザインとは?」という話をし、実際に体験してもらったので、せっかくなのでその話を少しだけしようとおもいます。
あるあるで有名な話だが、「デザイナーです」というと、「え、絵をかけるんですか?すごいですね」と返されることはいまでもよくある。それぐらい日本での「デザイン」という言葉はカオスだと思っている。
最近でこそ(わたしのまわりでは)あまりいう人はいないが、「Webデザイナー=Photoshopでパーツをつくる人」と思っている人も、少なからずいる。
でも、UIデザインはそんなかんたんなものではない。
UIとは
ではここで、改めてUIについて考えてみる。
UIとは、「ユーザーインターフェース」です。
ユーザインタフェース (英: User Interface, UI) は、機械、特にコンピュータとその機械の利用者(通常は人間)の間での情報をやりとりするためのインタフェースである。(ユーザインタフェース – Wikipedia)
「インターフェース」とは、ものごとの境界のこと。
つまり、ちょっと噛み砕いていうと、「アプリとユーザーをつなぐ境界面」だと考えています。
しかし、これをもう少し広い目でみると、アプリの背景には必ずサービス提供者という「人」がいるわけで。
そうすると、「サービス提供者とユーザーをつなぐ境界面」とも考えられます。
ユーザーの目や手に直接触れる、いちばんだいじな「面」
わたしたちが制作しているプロダクトはアプリが多いので、スマホ上のアプリとしてUIを考えます。
スマホのアプリのことを考えると、たくさんの技術が集結してできています。
- ビジネスモデル
- ユーザー潜在層・需要の調査
- プロモーション
- UIデザイン
- グラフィックデザイン(≒世界観の構築)
- コードによるデザインの実装
- ロジックの実装
- サーバー
- サーバーとフロントの通信
- ほかにもたくさん
これらはすべてサービスの構築には欠かせないものですが、この中で直接ユーザーに触れる部分は、やっぱり「UIデザイン」だと思います。
(厳密には、それをコードにより実装する「コードによるデザインの実装」のほうが直接触れている感じはありますが、本題とずれるのでその話はまた今度)
どれだけビジネスモデルがすばらしくて、ユーザーのニーズに届くもので、システムのパフォーマンスもすばらしく安定していて、お金もあって、というサービスでも、使いづらいUIになってしまっていたらユーザーの満足度はおそらく半分以下。
こうして考えると、この境界面は、ユーザーの目や手に直接触れる、いちばんだいじな「面」であることがなんとなく感じ取れます。
画面遷移はだれが考える?
ちなみにここでいっている「UI」とは、世界観なども含んだグラフィックデザインではなく、使い勝手のほうです。
たとえば、ボタンの色や配置もそのひとつにはなりますが、画面遷移も「使い勝手」に含まれます。
UIデザインというと、画面の仕様に従ってパーツとかを作ってくれるんでしょ?とときどき言われますが、それはただの「パーツをつくる人」。先の「Webデザイナー=Photoshopでパーツをつくる人」の話と同じです。
画面遷移も、ほんとはUIデザイナーもいっしょに見ないといけません。
とはいえ、システム的な要件も入ってくるので、UIデザイナーだけでつくると必ず漏れが出てくるのも事実(わたしひとりだけでもちゃんとした画面遷移はつくれません)。
かといってシステム的な要件に従ってのみ考えてしまうと、ユーザーにとって「なんでこれ必要なの?」みたいなフローが出てきてしまったりするので、システム設計をする人といっしょに、UIデザイナーも入ったほうがいいものになることが多かったです。
わたしが画面遷移のフェーズに入ってよくあるのは
- これってほんとは必要なくない?
- 逆にこの画面に機能盛りすぎだから、分けようよ
などという画面が多いです。
UIデザイナーはすべての仕様を把握しておく必要がある
UIデザイナーは、本来すべての仕様を把握しておかなければ、要求に沿ったデザインは提案できないと考えています。
なので、先のような「画面の仕様に従ってパーツとかをつくる人」とは思わないでほしい。
システムをつくる人と同じぐらい、システムの内容を理解しておかないとむずかしい。
しかし、システムの内容と同じぐらい、さらにサービス自体の理解、ビジネスモデルの理解、人がどう動いてお金がどう動くのか、もほんとうは理解しておかないとむずかしい。
だれかがどこかのブログで、UIデザイナーの負担が重すぎて病んでいく、みたいな記事をみたが、ひとつまちがえるとたしかに病んでしまいそうなぐらいたいへんな仕事とは思っている。
だからかどうかわからないが、慢性的なUIデザイナーの不足。
クライアントの話を聞きながら、みんなのやりたいことをカタチに落とし込んでいく。それと同時にシステムの要件を理解しながら、ユーザーが操作しやすいようにデザインしていく。
たしかに、いろんな分野の脳ミソが必要になるし、たいへんそうにはみえる(笑)。
でも、先述した「ユーザーの目や手に直接触れる、いちばんだいじな「面」」をつくっていくことを任せてもらえることは、とてもうれしく思う。
アプリの完成、完成後のサービスの運用、その後のビジネスの拡大、みんなの喜ぶ顔。
それらを考えてニヤニヤしながらUIデザインをつくっていくのがわたしは大好きです。
#今回はコラムみたいな内容でした^^