ベトナムのオフショア開発企業との協業
- オフショア
ソフトウェア開発でお世話になっているベトナム、ハノイの開発会社に打ち合わせで行ってきました。
iOS, Android, Web, サーバーサイド, Unityゲームなどの開発を行っているOminext(オミネクスト)さん、日本市場に特化したオフショアの開発会社です。
今回はiOS, Android, Webアプリの日本の案件でデザインを弊社、開発をOminextさんで協業しているのですが、とてもやり取りがしやすく、海外とのやりとりは不慣れな私たちでもコミュニケーションで困ったことは一度もなく、今までSkypeやSlackによるリモートでやりとりしていましたが、今回初めて現地の方とリアルに顔を合わせる機会となりました。
今までSkypeしか対面していなかったのにいざオフラインで会って「初めまして」と言うのが不思議な感じがします。
完全に個人で感じたことばかりですが、オフショア開発会社の方と直接やりとりしたことをもとに感じたことを今週のデザイン・ラボに書いてみますが、先方さんのオフィスの写真などは今回差し控えたいと思います。
ベトナムの人件費など
平均年齢なんと28歳程度、日本と違い若い人たちが大半を占めています。
ハノイの街はごみごみしてましたが、とても元気というか活気があって、これから急激に発展していくんだろうなと感じます。
現地に到着して、8人ほどでランチを取って請求額が800,000ドンって書かれていた数字にビビってしまったんですが、日本円にすると4,000円ほどということです。計算に慣れるまでちょっと苦労します。
ベトナムは特に80年台に大きなインフレを起こしていますし、その後高額新紙幣が発行されているなど、経済の過去の推移がベトネムドン(VND)の桁数を極端に大きくしている理由だと言われています。
私が現地の方に伺ったベトナムの平均年収は約24万円ということでした。
日本の平均年収を440万円とすると、約18分の1程度の差があります。
日本の案件が100%という現地のIT企業も増えているようですが、Ominextさんも完全に日本の案件のみを受託しているそうです。
意外にも高いコミュニケーション能力
オフショアの抱える問題をネットで調べてみると、言葉や習慣の違い、品質などの問題でトラブルになり、かえって高くつくケースもリスクだという話を耳にします。
しかし意外とそうでもないようです。
一見誤解されがちかもしれませんが、言われたとおりにつくるだけだと思われがちなオフショアの開発会社、実はとても良く考えて提案してくれる方もいます。
現地いるコミュニケーターは20代前半の若い女性も多く活躍していて私たちのプロジェクトメンバーであるコミュニケーターも仕様について話し、マネージメントするスキルを持ち、日本語も上手な方がついてくれていて、専門的な用語を使っても問題なくその方も20代の女性です。外国人ということを忘れてしまいます。
仕様の確認などは日本のビジネスオーナー側やデザイナー側では気づかない仕様設計ミスを全部日本語の会話の中で指摘してくれます。
Skypeによるリモート会議では笑いあり、そしてバトルあり(といってもちゃんとした議論です)で、クライアントだからといって遠慮はせず問題に一緒に向き合ってくれます、ほんとそういうところが嬉しいですしビジネスオーナーも信頼しているようです。時には現地の上司のはずの社長をいじったりと、ひとつのチームとしてしっかりコミュニケーションできています。
いつのまにか国の違いなどは忘れてしまうほど安心してディスカッションしています。
個人的な感触ですが、技術スキルもそうですがコミュニケーターという人材へのニーズも高いように感じます。
オフィスにおじゃましたらほとんどが20代の若者でワイワイと楽しくやっている空気を感じ、残業はほとんどなく定時を過ぎるとビルの下の階のトレーニングジムに行く人も多いらしいです。
今後の課題、デザインスキルを求める声も
インドを見ればどんどん優秀なスキルを持った人が出てきて、今、人件費が上がりつつあるとのこと。
今後ベトナムもそうなるのでは?多くの若い人が今後30〜40年は活躍する国だし。そうなるといつまでも安い人件費とも言っていられない気もします、間違いなく生活水準は上がるだろうと見られているので収入も上がるでしょう。
セカイラボさんの記事によると、ベトナムのプログラマー人月単価は17万円〜25万円(追記:2年前の記事なので、今は最低単価はもう少しあがっているようです)、そして平均月給や諸々引いて利益率が20%(これでも大きいそうですが)とすると、4〜5万円前後の利益が上がる。日本ではなくベトナムの利益なのでその数字は非常に大きい。外国からの参入企業も多い理由です。
日本だと人月100万前後ではないだろうか?そうなると一人アサインするごとに日本の1/4程度の人件費となる。もちろん何もかもが安ければいいというわけではないし、他の会社を見ていないので何とも言いきれないが…。
Ominextさんのスタッフの方と勉強会を開きました私も急遽、少しだけプレゼンをすることに。
彼らが知りたかったのは日本国内でのコミュニケーション手段やツールと、デザインのことのようです。
日本では制作会社がどういったツールを使い、効率化を図っているのか?とか。
また、デザインにおいてはベトナムと日本との文化の違いもあり、日本でトレンドとなっているデザインも気になっているとのことでした。
Arduinoとはじめとする小型マイコンボードを使ってつくった趣味のオモチャを見せたところ、そのあたりはまだ未経験の方もいました。
サーバーサイドチームはPHPが主流、交流の場で聞いたところRuby on RailsやNode.jsも意欲的に取り組んでいるようです。
日本とは2時間の時差しかなく、飛行機で5時間。リモートでかなりのやり取りができるこの時代。
自分になにができるのだろう?と考えることをさらに深めてしまいました。
ただ、仕事がなくなるというネガティブな考えを持つ必要はなく、日本にいなければできないこともあると思います。
やはり慣習、文化を客観的に感じとれるのは同じ土地に住んでいる人のほうが強いと考えられます。
食文化でいうとベトナムの料理は「自分でつくって食べる手順」が多い気がする。ライスペーパーと呼ばれる白く半透明な餃子の皮の大きい版のようなもので野菜を自分で巻いて食べる、そのバリエーションも豊富ですが、和食ではそこまで顧客に手間をかけさせない料理が多いと思います。
ベトナムのタクシーにはUberが多く活用されています、これは手を上げて止めたほうが早い東京よりもUberが進んでいるなと感じました。
道路で頻繁になるクラクションは嫌がらせではなく自分の位置を知らせるために必要な行動らしく、日本でやると大変なことになる交通事情も違いがあります。
パイナップルの切り方がベトナムは特徴があり斜めに模様を入れながら包丁で切っていく、ココナツはナタで一部切り落とし穴を空けてストローで吸うのが美味しいが日本の飲料はかなり加工されている、むしろ都市部で天然の果実を吸う機会は少ない。
あくまでハノイ市街地だけだがコンビニが見当たらない、かろうじてサークルKを1店見かけただけ。
マクドナルドはないけどロッテリアやKFCはある(これもハノイ)
寺院では女性のひざ上のスカートが禁止なのに祭壇はLEDでピカピカ、日本より派手なのに服装は地味に制限という慣習。
多くのスーパーマーケットでは万引き防止のため、かばんは外のロッカーに入れて入店する、日本だと間違いなく非難の嵐だろう。
文化の違いが重なると考え方や伝え方も違ってくるかもしれないなと。
やはり自分にできることは何かをもっとしっかり考えるべきなんだろう。
しかしみなさんとても優しい、親日家は多い。本当に何から何までお世話になりました。
これから色々なお付き合いを考えていきたい、勉強になるベトナム出張だった。
追記
5日間の滞在だったのですが、連日色々なところに連れていってもらいました。社長のズンさんは毎日私たちに付き添ってくれた、感謝。
TOP OF HANOIから見える夜景
TOP OF HANOIのトイレのアイコン
ハロン湾のマーケット
3,000島もある?と言われるハロン湾を船で移動
まるで映画のロケ、ティエンクン鍾乳洞
ティエンクン鍾乳洞前の港
ハノイ市街地の信号がない交差点